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「おいしい時間」をみんなで
料理サークル「賞味会」


 3月18日、西東京市田無総合福祉センターで、「小松菜ご飯」や「菜の花の和え物」など旬の味覚に舌鼓を打つ知的障害者の姿があった。

 60歳以上の男性料理サークル「賞味会」が主催した食事会で、西東京市内の福祉作業所「さくらの園」(西原町4丁目ほか)に通う18歳から60代の障害者約50人が招待された。

 20年近く続く年中行事で、この日は、十数人の賞味会会員が3時間かけて準備した。
 招待された20代の男性は、「小松菜ご飯が特においしかった」と、2回お代わりし、祖父の年代にあたる賞味会メンバーを大いに喜ばせた。

 同会は、1989年に旧田無市の社会福祉協議会が開催した「おじいちゃんのための料理教室」をきっかけに生まれた。当時、同市内に在住していた料理研究家の小林カツ代さんに講師を依頼したところ、手弁当で引き受けてくれることに。以来、月に1度、公民館などに集まり、手作り料理を学び合っている。
 小林さんが一昨年に病気で療養生活に入ってからは、小林カツ代キッチンスタジオのフードアドバイザー加藤和子さんが、料理指導にあたる。

 しかし、賞味会は調理の腕を上げることを主目的にしているわけではない。その名が表すように、「味をめでる」ことが活動の趣旨。
 平均年齢が70歳を超える24人の会員のうち、5〜6人が、ひとり暮らしの男性という。
 日ごろは3食とも1人で食事をするという70代の会員は、「月に1回、みんなと話しながら食べられるのがいい」と同会を続ける理由を話す。
 また、妻と2人暮らしの男性も、「1人になっても困らないように」と入会したが、「話題が豊富な会員が多く、話を聞いているだけでも元気になる」と言う。

 ほとんどの会員は、入会するまで台所に立つことはなかった。しかし、加藤さんは、「包丁を持ったことがあるかどうかより、人の話から必要な情報を聞き取る力の方が重要」と話す。
 その姿勢は、小林さん直伝の指導法にも表れている。毎回配布される資料には、材料とその分量しか記されておらず、話を聞いて、会員が自分だけのレシピをノートなどに書き込んでいく。

 会長の下栗庸隆さんは、知的障害者を招く食事会について、「これからもずっと続けたい」と話すが、「会員や引率の先生たちの分を含めると約70人分になる食器を揃えるのが一番の苦労」と話す。また、会費から食材費を捻出するため、提供できる料理に限りがあるのも悩みのタネとか。

 食事会の冒頭で、招かれたさくらの園の伊東淳爾理事長は、「今年もおいしい時間を用意してくださってありがとう」とあいさつした。
 しかし、「おいしい時間」を味わったのは、招待された人たちだけでなく、この場にいたみんなだった。



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