西東京・東久留米・小平・新座から発信する生活情報
西東京エリア情報
地域社会 伝える
「盃には物語がある」
西東京市の収集家が本に


 古代から現代まで1万点以上の盃(さかずき)をコレクションする篠田恒男さん(74)=写真=が、厳選した約700点を紹介する本「盃物語」(光芸出版)を完成させ、話題になっている。

 西東京市東伏見で銭湯「妙法湯」を経営する篠田さんは、30年以上前から盃の収集を始め、1998年にはコレクションの一部を展示する「盃ミニ博物館」を銭湯内に開設。「子連れ狼」を作画し、大の日本酒党だった小島剛夕(ごうせき)さんも、生前は小平市の自宅から篠田さん宅へ通い、さまざまな盃で日本酒を楽しんだという

集めた1万点から700点を収録

 篠田さんが盃を収集し始めたきっかけは、たまたま入った骨董(こっとう)品店で、内側が福娘に、外側が鬼の形状になっている盃を手にしたことだった。「これはおもしろい」と思ってから、都内だけでなく、京都市や新潟県まで自家用車で買い出しに行くほど魅了された。

 だが、古伊万里や北大路魯山人など評価が定まった陶器には、ほとんど関心がない。一方で、安価なガラス製や骨董商が見ればあまり価値のない瀬戸物などを中心にコレクションしてきた。収集するポイントは、「物語を感じる盃だ」と語る。
 「盃物語」で紹介されるのは、物資制限のために統制番号が付された戦中の盃や、メガネやパーマなど大正期の流行を取り入れた色っぽい女性が描かれた盃など、時代背景を色濃く反映するものが多い。中には、「自由」と金文字で書かれた盃もあり、「自由民権運動の息吹を感じる。『自由』という言葉が、酒飲みの庶民の間でも輝いて見えた証拠では?」と読みとく。

 本の製作にあたっては、篠田さんが解説を執筆し、盃はプロのカメラマンが10日間を掛けて撮影した。また、数ある盃を、注いだ酒が隠れてしまう「袋盃」、春画などが施された「覗き盃」などの39項目に分類して掲載。
 最終的に256ページのオールカラーで、1部4200円となったが、「インターネット書店を中心にかなりの反響がある」という。

 冠婚葬祭など日本の生活に密着してきた盃だが、缶ビールやカップ酒の普及もあって、徐々にすたれている。この現状を「さびしい」と語る篠田さんは、アルコールをほとんど口にしない。そんな在野のコレクターが、次世代に「盃」の神髄を伝えようとしているのもユニークだ。
 「盃は縄文時代からあったし、特に日本で発達してきた文化だ」との思いを持つ篠田さんの本には、元保谷市遺跡調査会の沼崎陽さんが、「読者は篠田氏の資料に触れて、きっと新たな発見をする」との推薦文を寄せている。

 なお、「盃ミニ博物館」(東伏見3の5の20)は、事前に連絡すれば無料で見学できる(金曜定休)。

 問い合わせは篠田宅(TEL 042―461―3789)へ。

履歴
胸張って、最高の文献「橋文太郎と民族学博物館」発行(2008年6月11日)
田無ばやしに助成金(2008年5月28日)
50年ぶり再開 郷土資料室ジオラマと制作者ら(2008年3月12日)
甦る、田無築いた文化人「賀陽玄節」の編集本、発見(2008年1月30日)
医師の体験記「市民の手で復刻しよう」―西東京市(2007年6月20日)
地元の戦争遺跡を歩く―東久留米で市民団体が開催(2007年5月23日)
「盃には物語がある」西東京市の収集家が本に(2007年3月14日)
「地域見直す起爆剤に」西東京市・下保谷の住民懇談会が冊子を発行(2007年2月14日)
平和観音がタイムスリップ… 西東京の空襲を絵本に(2006年10月25日)
雑木林再生の活動記録(2006年8月2日)
東大農場・演習林の生きものたち



Copyright (C) 2005〜2006toukoutsushin. All Rights Reserved