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集めた1万点から700点を収録
篠田さんが盃を収集し始めたきっかけは、たまたま入った骨董(こっとう)品店で、内側が福娘に、外側が鬼の形状になっている盃を手にしたことだった。「これはおもしろい」と思ってから、都内だけでなく、京都市や新潟県まで自家用車で買い出しに行くほど魅了された。
だが、古伊万里や北大路魯山人など評価が定まった陶器には、ほとんど関心がない。一方で、安価なガラス製や骨董商が見ればあまり価値のない瀬戸物などを中心にコレクションしてきた。収集するポイントは、「物語を感じる盃だ」と語る。
「盃物語」で紹介されるのは、物資制限のために統制番号が付された戦中の盃や、メガネやパーマなど大正期の流行を取り入れた色っぽい女性が描かれた盃など、時代背景を色濃く反映するものが多い。中には、「自由」と金文字で書かれた盃もあり、「自由民権運動の息吹を感じる。『自由』という言葉が、酒飲みの庶民の間でも輝いて見えた証拠では?」と読みとく。
本の製作にあたっては、篠田さんが解説を執筆し、盃はプロのカメラマンが10日間を掛けて撮影した。また、数ある盃を、注いだ酒が隠れてしまう「袋盃」、春画などが施された「覗き盃」などの39項目に分類して掲載。
最終的に256ページのオールカラーで、1部4200円となったが、「インターネット書店を中心にかなりの反響がある」という。
冠婚葬祭など日本の生活に密着してきた盃だが、缶ビールやカップ酒の普及もあって、徐々にすたれている。この現状を「さびしい」と語る篠田さんは、アルコールをほとんど口にしない。そんな在野のコレクターが、次世代に「盃」の神髄を伝えようとしているのもユニークだ。
「盃は縄文時代からあったし、特に日本で発達してきた文化だ」との思いを持つ篠田さんの本には、元保谷市遺跡調査会の沼崎陽さんが、「読者は篠田氏の資料に触れて、きっと新たな発見をする」との推薦文を寄せている。
なお、「盃ミニ博物館」(東伏見3の5の20)は、事前に連絡すれば無料で見学できる(金曜定休)。
問い合わせは篠田宅(TEL 042―461―3789)へ。
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