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われら隣人
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われら隣人
第520回
野崎守二(美術品コレクター)

 絵、彫刻、漆器、陶芸など約200点を収集し、毎週木曜日の午後に、蔵風に造った「野崎美術館 ギャラリー蔵」を開館する。宣伝していないこともあり、訪れてくるのは「通りがかりの人ぐらい」というが、展示品は、日本画の注目の作家・千住博さん、平松礼二さん、彫刻家の横山豊介さんなど、一線級の作家の作品が並ぶ。

 コレクションを本格的に始めたのは、40歳のころ。美術と旅行が好きで、暇を見つけては、国内外の美術館やギャラリーをめぐっていたが、富山県の横山さんのギャラリーを訪ねたときに、出合いがあった。約120センチ四方の、1枚ものの松の衝立て=写真。「見た瞬間に、衝撃というか、プロのコレクターが言うところの『感動』があったんだよね」

数千万が二束三文…
人との交流こそ財産


 その一作をきっかけに、それまで眺めるだけで満足していた美術品を、コレクターの目で見つめるようになった。折りしも、時代は、バブル経済へと向かっていく右肩上がりの時期。資産価値を吟味しつつ、あくまで作家と自分の感性の合致を見定めながら、ジャンルを問わずにコレクションを増やしていった。

 1991年、東久留米市柳窪に茶室や中庭のある美術館を数億円かけて建設。「人は、美術品を見ると心が安らぐもの。いろいろな発想もわいてくる。心の問題って置き去りにされがちだけど、美術というのは、そういう意味で結構大事。保管していても仕方ないから、みんなに見てもらおう」とコレクションを並べ、時折は作家を招きイベントも開いた。

 集める品は、和風のものが多い。構図などが日本人としての感性に合うこともあるが、何より緻密さに感動する。そのコレクションは、一時は、400点にも上った。

 が、バブル崩壊……。生家は地主だが、タイミング悪く相続問題も重なり、やむなく美術館を取り壊し、受け継いだ土地の大半を売った。

 その後、コレクションも200点近く売り払った。それまでコレクションに使った費用はおおよそ1億5000万円。資産価値があるはずだったが、「バブル崩壊で、二束三文になっていた」。

 もっとも今では、「人間は本来、無一物。後で悔しがったってしょうがない」と前向き。5年ほど前から、もともとは収蔵用に建てた蔵風の建物を利用し、ギャラリーを開いている。

 旅行には、今も頻繁に出かける。ロシア、オランダ、イギリス、フランス、タイ、台湾……行った国を挙げればキリがないが、美術館めぐりだけでなく、最近は、人を訪ねる旅が多くなった。コレクションを通して作家や美術関係者と知り合い、人脈が、国内隅々、世界各国にある。

 「負け惜しみじゃないけど、それが何よりの財産だよね。人との交流がね」

 ◇のざき・もりじ 1941年生まれ、66歳。東久留米市柳窪在住。不動産賃貸管理業を営む。
 「野崎美術館 ギャラリー蔵」(東久留米市柳窪4の1の21)は、毎週木曜日のみ開館。時間は正午から午後4時30分まで。見学無料。問い合わせは(TEL 042・471・4617)へ。

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【取材記者・谷 隆一】


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